ローリングストーン


17の時短期間通った地下のロック喫茶が新宿三丁目にあった。ローリングストーンという。 上京して叔母の家に泊まりながら昼間にこっそり行って、大きなスピーカーの前に座りハードロックを聴いていた。 わたしって何?と自身について初めて悩んだ時期で、今のわたしの始まりのような店だ。 そこには長髪で棒切れのように細くて顔の綺麗な若いバンドマンが働いていていた。 年月が経ち、あの頃とは変わっているかもしれない、記憶を壊したくなくて、でも大事で、ごくたまにだが前に行っては存在を確認していた。 最近、今後の人生設計が具体的になってきて、もう行ってもいい時期だと思い三丁目に来た。 店はなかった。 呆然としてそれからネット検索した。一年ほど前にオーナーは他界されたそうだ。 名残を惜しんで周囲を歩き、路地のどん底、ではなくらんぶるでお茶を飲む。 今夜は美輪明宏の毛皮のマリーをひとりで観ます。 もうあの店がない。 大切過ぎると手も足も出ない。 


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